腎臓と尿路の病気

痛風腎

分類:腎臓と尿路の病気

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 痛風腎とは、高尿酸血症が長期間続き、尿酸の結晶(尿酸塩)が腎臓の尿細管や間質に析出・沈着することで起こる腎臓病です。

 尿細管が障害され、尿が濃縮できないため、初期には多尿や夜間尿がみられます。尿検査では、血尿や蛋白尿などは認められないことが多く、あっても軽度です。血液検査でも、初期には異常はみられませんが、進行すると腎機能の低下が認められるようになります。

 治療では、食事療法や薬物療法によって、血液中の尿酸値をコントロール(正常化)することが大切です。食事療法では、高エネルギーや高蛋白の食事に偏らないように気をつけて、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品(レバー、もつ煮込み、肉汁や干物など)はひかえるようにします。過剰なアルコール摂取は高エネルギーとなり、プリン体も多く含むので(とくにビール)、これらもひかえるようにします。

 また、尿酸の排泄を促すために、なるべく多くの水分をとるようにします。しかし、高度な腎機能低下がみられる場合には、水分を制限することがあるので、1日の水分摂取量を決めるには、主治医の判断が必要です。

 薬物療法では、尿中に尿酸を排泄する作用のある薬(尿酸排泄促進薬)と、尿酸が作られることを抑える薬(尿酸生成阻害薬)が用いられます。痛風腎では、主に尿酸生成阻害薬を投与します。

(順天堂大学医学部腎臓内科学助教 谷本光生)