肝臓・胆嚢・膵臓の病気

アミロイドーシス

分類:肝臓・胆嚢・膵臓の病気

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アミロイドーシスの分類

 アミロイドと呼ばれる線維状の異常蛋白が体のなかに沈着して、個々の臓器の機能障害を起こす病気の総称です。全身性と非全身性、遺伝性と非遺伝性、あるいは原発性と続発性に大別されます。

 続発性アミロイドーシスは50代後半〜60代に発症年齢のピークがあり、関節リウマチ、骨髄腫、長期間の人工透析を受けている人に発生しやすい傾向があります。

 遺伝性アミロイドーシスは、とくに熊本県と長野県に患者さんが多くみられる地域があります。遺伝形式は常染色体優性で、親から子どもに50%の確率で病気が伝わり、20代後半から40代前半に発症します。

アミロイド前駆蛋白

 全身性アミロイドーシスの原因は単一ではありませんが、いずれの場合も血液中にアミロイドの基となる前駆蛋白が存在します。

 遺伝性全身性アミロイドーシスでは変異トランスサイレチンが、また骨髄腫に伴うアミロイドーシスや長期透析患者でみられるアミロイドーシスでは、それぞれ免疫グロブリンの短鎖とβ2ミクログロブリンがアミロイド前駆蛋白です。しかし、これらが組織にアミロイドとして沈着する機序(仕組み)の詳細は不明です。

症状と治療

 アミロイドーシスは特徴的な症状に乏しいため、診断が困難です。沈着が著しい臓器の障害症状が出ることになります。

 遺伝性全身性アミロイドーシスは、手足のしびれ、麻痺といった多発神経炎症状、高度な立ちくらみ、食欲不振、排尿障害などの自律神経症状が現れます。とくに、数日の周期で激しい便秘と下痢が繰り返し起こることが特徴的です。進行すると舌、甲状腺、肝臓などが硬くはれ、また心臓ならびに腎臓の機能が低下します。最終的には全身衰弱を来します。

 予後は極めて悪く、多くの患者さんは発病後数年で死亡します。体内へ沈着したアミロイドを取り去る根本的な治療法はなく、多くの場合は対症療法に終始します。

 原発性全身性(AL型)アミロイドーシスには、大量の化学療法が試みられています。

 また、最近は遺伝性アミロイドーシスに対して肝移植(日本では生体部分肝移植)が行われています。異常な蛋白を産生する患者さんの肝臓を、健康な人の肝臓に取り替えるというものです。この治療法により、アミロイドは患者さんの体内で産生されなくなります。

(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター長 石橋大海)