肝臓・胆嚢・膵臓の病気

B型ウイルス肝炎の治療

分類:肝臓・胆嚢・膵臓の病気

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①インターフェロン(IFN)治療

 日本では現在、IFN治療はHBe抗原陽性のB型慢性肝炎に対してのみ保険適応となっています。副作用は発熱、食欲低下、汎血球減少、甲状腺機能障害、抑うつ障害、間質性肺炎などがあり、治療中は慎重な経過観察を必要とします。

 抗ウイルス効果は核酸アナログ製剤に比べると弱いのですが、免疫賦活作用があるので投与終了後のセロコンバージョン(コラム)が期待できます。IFNの治療効果が出やすいのは、若年で血清ALT値が比較的高値であり、肝線維化があまり進行していない症例です。

②核酸アナログ治療

 近年HBVの増殖を強力に抑制する核酸アナログ製剤(ラミブジン、アデホビルピボキシル、エンテカビル水和物)の開発が進み、一般臨床において広く用いられるようになっています。これらはすべて内服薬であり、IFNにみられるような副作用はほとんどみられません。ウイルス増殖を強力に抑制し、肝炎を沈静化させます。しかし、肝臓からHBVを完全に排除する効果はなく、投与中止後には高率に肝炎が再発します。また長期投与した場合には、薬剤耐性ウイルスの出現がみられることがあります。

 ラミブジンは最も早くB型慢性肝炎に適応となった核酸アナログ製剤ですが、投与1年で20%、2年で40%、3年で60%と、耐性ウイルス出現率が高いのが問題です。ラミブジンに対する耐性ウイルスが出現している症例に対しては、ラミブジンとアデホビルピボキシルの併用治療、またはエンテカビル水和物の増量投与が行え、併用治療のほうがその後の長期成績は良いことが示されています。

 今後新たに核酸アナログによる治療を受ける場合、現在使用できる核酸アナログ製剤のなかでは、エンテカビル水和物が3年で1〜2%と最も薬剤耐性になりにくいことがわかっているため、抗ウイルス治療の中心となっています。

 核酸アナログによる治療は、30〜40歳以上の慢性活動性肝炎症例が、最も良い適応となります。長期投与の必要性や胎児への影響などから、若年症例に対する適応は慎重にしなければなりません。しかし肝生検の結果などにより、高度に進行した慢性肝炎や肝硬変と診断された症例では、核酸アナログ治療の適応となります。

③肝庇護療法

 肝庇護療法(ウルソデオキシコール酸、強力ネオミノファーゲンC、グリチルリチン製剤、小柴胡湯など)は肝炎の沈静化を目的とした治療です。免疫細胞による傷害から肝細胞を保護することで肝炎の進行を遅らせることを目的とします。

④免疫賦活療法

 プロパゲルマニウム投与などにより、生体の免疫機構を賦活(活性化)してHBVの増殖抑制を目指す治療法です。ステロイド離脱療法は、ステロイドの免疫抑制効果を利用してセロコンバージョンを誘導する治療法です。

 これらの治療によって肝炎が重症化する可能性があるため、肝硬変など肝予備能が低下している場合は禁忌で、現在ではあまり行われていません。

(千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学教授 横須賀 收)

(健内科クリニック院長 深井健一)