直腸・肛門の病気

肛門のでき方と解剖

分類:直腸・肛門の病気

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 痔を理解するには肛門のでき方(発生)とその仕組み(解剖)を知らなくてはなりません。肛門はどのようにしてできたのでしょう。

 胎児がお母さんの体内にできたての時は、肛門のあるところの皮膚にくぼみがあるだけで肛門はありません。それが成長するにつれ、徐々にくぼみはその深さを増してゆき、同時に腸は徐々に下がっていきます。そして最後に、降りてきた腸と深さを増していった皮膚のくぼみとがドッキングして、でこぼことした境目を残しながらお尻に穴が、つまり肛門が形成されます(図11)。

 でこぼことした境目は今でも残っていて、その部分を糸状線といいます。日本人の大人の平均で、肛門の縁から歯状線までは1・5〜2・0㎝です。その境目より上の腸が下がってきた部分を直腸、境目より下の皮膚のくぼみが増していった部分を肛門と呼びます(図12)。

 肛門は皮膚と同じものでできていて、直腸は腸と同様のものでできています。そのため、歯状線を境に下の肛門は皮膚と同様に痛みに敏感ですが、上の直腸は痛みを感じません。

 このような便の出口である肛門、直腸を囲んで、これらの締まりに関係した筋肉(括約筋)が2種類あります。内側を取り囲むのを内括約筋、外側を取り囲むのを外括約筋といいます。

 内括約筋は常時、肛門をある一定の力で締めています。夜寝ていて便をもらすことがないのも、この筋肉のおかげです。意思の力と関係のない筋肉で、直腸の筋肉と同じ平滑筋で不随意筋です。

 外括約筋は内括約筋の外側を囲む筋肉で内括約筋より強大な筋肉です。肛門を締めたり、ゆるめたりできるのもこの筋肉のはたらきによります。手や足の筋肉と同じに意思の力で動かせる横紋筋で随意筋です。

(岩垂純一診療所院長 岩垂純一)

図11 肛門のでき方(発生) 図11 肛門のでき方(発生)

図12 肛門の仕組み(解剖) 図12 肛門の仕組み(解剖)