脳・神経・筋の病気

片頭痛の特殊型

分類:脳・神経・筋の病気

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 片頭痛の前兆として、片麻痺を認める片麻痺性片頭痛(前兆遷延型片頭痛とも呼ぶ)がまれですが認められます。このなかで、家族性にみられるのが、家族性片麻痺性片頭痛です。家族性片麻痺性片頭痛は、前兆として片麻痺が生じる患者さんが一親等以内にいる場合で、まれな疾患です。

 最近、オランダのグループが本疾患の多数例で遺伝子を調べ、第19番染色体19p13に存在するP/Q型カルシウムチャンネル遺伝子に異常を認めました。そのため、一般の片頭痛でもさまざまな遺伝子の検討が行われていますが、現在のところまだ明らかな異常は見つかっていません。

 外眼筋の麻痺によって、物が二重に見える複視を訴える眼筋麻痺性片頭痛もまれにみられます。

 脳底型片頭痛は、前兆として脳幹部が障害された時の症状を認める片頭痛で、従来脳底動脈片頭痛と呼ばれていました。脳幹部の障害と考えられる症状(複視、めまい、耳鳴り、運動失調、構音障害、四肢のしびれ、意識障害)のうち2つ以上が認められる場合に診断されます。

 網膜の血管に変化がみられ、視野障害を示す網膜血管片頭痛もごくまれにみられます。また、片頭痛のなかで、前兆による症状(閃輝性暗点など)を示しても、その後頭痛を生じないものもみられ、頭痛を伴わない片頭痛と呼ばれています。

(埼玉医科大学神経内科教授 荒木信夫)