脳・神経・筋の病気

腱反射とは

分類:脳・神経・筋の病気

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 診察時に、たとえば膝などを小さいハンマーでたたかれた経験をした人がいると思います。正常なら反射で下腿がピョンと上がります。この反射を腱反射といいます。これは膝をたたいているのではなくて、筋肉が骨に付着する腱(アキレス腱など)の近くにある筋紡錘をたたいて刺激しているのです。

 腱をたたく(刺激する)と、筋紡錘から脊髄に向かってIa線維(感覚系)が刺激されて興奮し、インパルス(衝撃波)が上行していきます。インパルスが脊髄に入ると、脊髄内の前方にある体幹や四肢の筋を支配しているα運動ニューロンが興奮して、α運動ニューロンから出る運動神経(筋肉を支配している)に支配された筋群が収縮します。同時に収縮した筋群と拮抗する筋群では反対に抑制が起こり、筋は弛緩します。この回路を反射弓といいます。反射弓はどこで侵されても、はたらかなくなり、反射は低下、消失します。

 一方、反射が亢進するのは、異常に反応が高いことを指し、これは反射をコントロールしている大脳、脳幹、脊髄を通る皮質脊髄路の障害の存在を示しています。

(興生会相模台病院副院長/北里大学名誉教授 齋藤豊和)