呼吸器の病気

アレルギーと肺疾患

分類:呼吸器の病気

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 アレルギーは、免疫反応が自分の体に不利にはたらいて起きる病気です。ヒトにはもともと免疫系という、自分の体を構成しているものとは異なる物を排除し、自分の体を守る仕組みが備わっています。たとえば、体のなかに細菌などの異物(抗原)が侵入すると、それに対抗する物質(抗体)ができて、無害化して体外へ排除しようとする反応が起きます。これを抗原と抗体が結びつく反応、抗原抗体反応(免疫反応)と呼んでいます。

 抗体は、抗原とカギとカギ穴のような関係でピッタリと結びついて抗原をブロックし、ヒトの体を守る大切なはたらきをしています。しかし、ある特定の人で、もしくは特定の物に対して、過剰な免疫反応が起こることがあります。この現象をアレルギーと呼んでいます。

 肺は空気を吸入し肺内に入れ、そこから酸素を取り込んで二酸化炭素を排出しています。肺は体のなかにあり、心臓などのように体の外とは交通がないようにみえますが、口、鼻、さらに気管、気管支によって、外の空気と直接的に接しています。つまり皮膚のように外気と接しているのです。

 そのため、外気中に浮遊している物質、病原微生物と接することが多く、それらを排除、防御するために免疫に関係する構造として、細胞が発達しているのです。このようなことから、アレルギーが起きやすい臓器になっています。

 具体的なアレルギー性肺疾患には、気管支喘息、過敏性肺炎、薬剤性肺炎、急性好酸球性肺炎などがあり、これらの疾患の発症数は増える傾向にあるといわれています。

(広島国際大学保健医療学部教授 中島正光)