呼吸器の病気

努力性呼吸

分類:呼吸器の病気

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 努力性呼吸とは、普通の呼吸に使う筋である横隔膜、肋間筋など以外の呼吸補助筋を多く使わなければならない呼吸のことをいいます。普段は吸気の時に呼吸筋だけを使い、呼気の時は自然に胸郭が狭まるのですが、何らかの事情でこれでは十分に呼吸ができない時に使う筋を呼吸補助筋と呼び、吸気の時に使う筋と呼気の時に使う筋があります。

 吸気のときに使う呼吸補助筋は、大胸筋、脊柱起立筋群、胸鎖乳突筋、僧帽筋、斜角筋、肩甲挙筋などです。呼気の時に使う補助筋は腹筋群などです。これらの筋は呼吸筋に比べて効率が悪く、エネルギーも多く使うために消費する酸素量が多くなります。

 努力性呼吸は、上気道の閉塞や気管支の閉塞などによって、一生懸命に呼吸している状態です。たとえば肺気腫、気管支喘息の強い発作の場合や腫瘍・異物などによる気道の閉塞が起こり、肺に空気を出し入れしにくい状態などにみられます。そのほかに、本来の呼吸筋が使いにくいことが原因になることもあります。

 余談ですが、努力性呼吸と呼吸困難とは一致しないこともあります。努力性呼吸をしていても、呼吸が困難と感じない人もいるのです。それとは反対に、努力性呼吸をしていなくても呼吸困難を感じる人もいます。

(広島国際大学保健医療学部教授 中島正光)