循環器の病気

植込型除細動器

分類:循環器の病気

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装置の概要

 植込型除細動器は、命に関わる重症の不整脈を治療するための体内植込型治療装置です。この機械は不整脈の発生を予防するものではありませんが、常に患者さんの心臓の動きを監視していて、重症の心室不整脈(心室頻拍と心室細動)が発生した時にはすばやく反応して電気治療を行い、発作が死をまねくことを防ぎます。植込型除細動器は、一般的には英文名の頭文字をとってICDと呼ばれています。

 植込型除細動器のシステムは約70gの本体と、それにつながるリード線から構成されています。本体は、電池とマイクロコンピュータが搭載されたチタン製の容器でできています。

 通常、左前胸部の皮下に本体を植え込みます。リード線は血管(静脈)をとおして心臓内に留置します。リード線には、心内の心電図を植込型除細動器本体に送り、常に心臓の動きを監視するはたらきと、不整脈が起こった時に本体からの電気治療を心臓に伝えるはたらきがあります。

装置による治療の方法

 植込型除細動器はあらかじめプログラムされた方法で、心室細動や心室頻拍を止めます。

 たとえば、心室頻拍が起こった場合には、まず通常のペースメーカーのような電気刺激で頻拍より少し速くペーシングをすることで治療を始めます。ペーシングを中止すると心室頻拍も止まることがあり、これを抗頻拍ペーシング治療といいます(図24)。何回かこのような抗頻拍ペーシング治療を行っても心室頻拍が止まらない場合は、弱い電気ショックによる治療を行います。これをカルディオバージョンといいます。

 まず弱い電気ショックで治療を行い、それでも止まらない時にはもう少し強いエネルギーを出すというプログラムを組むこともできます。この治療の時には“不意に胸をたたかれたような感じ”になります。一方、心室細動発作が生じた場合には、意識は完全に消失し、一刻の猶予もありませんので、ただちに強い電気ショックによる治療が行われるようになっています(図24)。

 植込型除細動器本体内に搭載されたマイクロコンピュータには、生じた不整脈発作や治療の記録が保存されていて、担当医師が体外から別のコンピュータでそれを読み取り、あとで確認することができます。その結果をもとにして患者さんの病状に合うように、体外から電気治療のプログラムを組み直したり、服薬内容を変更したりすることができます。何回も電気治療が繰り返される場合には、心室不整脈を専門とする施設におけるカテーテル・アブレーション(心筋焼灼術)による治療が有効です。

(横浜労災病院不整脈科部長 野上昭彦)

図24 植込型除細動器の作動模式図 図24 植込型除細動器の作動模式図