循環器の病気

心タンポナーデ

分類:循環器の病気

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 心膜は、心臓表面を直接おおう臓側心膜と、心臓を縦隔や胸腔からへだてる壁側胸膜によって構成されています。通常、この2つの膜の間の心膜腔には、生理的に15〜20mlの心嚢液が存在し、潤滑油の役割をしています。

 心タンポナーデは、過剰の液体がたまることにより心臓の拡張が極度に制限され、心拍出量が低下し、血圧低下やショックに進展する病態のことを指します。

 心膜液がたまる速さによって、数百ml程度で心タンポナーデに陥る場合もありますが、緩徐な場合は1lたまっても心タンポナーデを起こさないこともあります。

 心タンポナーデを起こしている場合は、すみやかに貯留液をドレナージする(チューブを挿入して排液する)必要があります。

(国立病院機構まつもと医療センター松本病院循環器科医長 矢崎善一)