子どもの病気

無酸素発作

分類:子どもの病気

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 この発作は、生後2カ月〜3歳くらいまでにみられ、大きな心室中隔欠損症と肺動脈弁下狭窄を併せもつチアノーゼ型の先天性心臓病に起こります。ファロー四微症が代表的ですが、両大血管右室起始症、単心室、三尖弁閉鎖症などにもみられます。

 症状は、睡眠後の不機嫌、号泣、排便などをきっかけにチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になること)が増強し、呼吸が速くなり、ぐったりしてきます。進行すると意識がなくなったり、けいれんを起こすことがあります。また、発作は午前中に多く、脱水、感染による発熱、貧血などは症状を助長します。

 発作の機序(仕組み)は、前記の状況をきっかけに心臓を収縮させるホルモンが多量に分泌されて右心室の出口の筋肉を過収縮させるため、右心室から肺動脈への静脈血(酸素が少ない血液)が減り、その分、心室中隔欠損を通って大動脈へ流れるために起こります。

 この発作は、悪循環に陥ると命に関わるので、発作の初期に治療することが重要です。もし自宅で発作を起こしたら体を折りたたむように膝を胸につける体位(膝胸位)で抱きかかえます。これによって右心室から大動脈へ流れる動脈血流を減らし、チアノーゼを改善することができます。酸素吸入も効果的です。

 しかし、これらの処置でチアノーゼが改善しない場合は、至急医療機関を受診してください。また、発作予防にβブロッカー(インデラル)を内服する場合もあります。加えて、便秘や貧血などは日ごろから予防し、感染などによる発熱や下痢などの際には水分を十分に補給することも必要です。

(新潟県立新発田病院小児科部長 塚野真也)