B型肝炎ウイルスへの感染を調べる検査
HBs抗原
HBs抗原検査の概要
肝炎ウイルスに感染して起こるウイルス性肝炎のうち、C型肝炎についで多いのがB型肝炎です。B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染して起こります。HBs抗原は、B型肝炎ウイルスを構成する外側のたんぱく質のことです。採血して、血液からHBs抗原が検出されるかどうかで、B型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べます。
HBs抗原検査の判定値
日本人間ドック学会の判定値
- HBs抗原
- 異常なし:陰性
- 要治療・要精検:陽性
HBs抗原に関連する病気
HBs抗原検査が陽性でも症状がない人もいます
HBs抗原が陽性の場合、現在B型肝炎ウイルスに感染していることを示します。B型肝炎ウイルスに感染しても、肝炎を起こさずウイルスを保有しているだけのケースもあり、これを無症候性キャリアといいます。無症候性キャリアであっても、将来肝炎を起こす可能性はあります。陽性の場合は、さらに詳しいB型肝炎ウイルス検査(活動性を表すHBe抗原など)をして調べます。放置せず、適切に対処しましょう。
よくある質問Q&A
- 陽性でも症状がなければ大丈夫?
必ず、さらに詳しい検査を受けましょう
HBs抗原が陽性の場合、必ず詳しい検査を受けましょう。B型肝炎ウイルスに感染していても肝機能に異常がない無症候性キャリアとわかった場合、B型肝炎ウイルスに感染していないセックスパートナーには、性行為による感染を予防するためのワクチン接種を受けてもらうなどの対処が必要です。また、肝臓は沈黙の臓器といわれ、自覚症状がなくても、病気が静かに進行し慢性肝炎を起こしていることもあり得ます。そのまま放置すると、肝硬変、肝臓がんへと進んでしまいかねませんが、治療を始めることで進行を遅らせたり、肝臓がんへ至るのを防ぐことができます。
監修者プロフィール
- 監修
- 和田高士(わだたかし) 医師
- 東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
- 1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。