アルコールの取り過ぎによる肝障害の指標とされる検査
γ-GT(γ-GTP)
γ-GT(γ-GTP)検査の概要
γ(ガンマ)-GTは、肝臓での薬物代謝にかかわるグルタチオンという物質の合成にかかわる酵素です。γ-GTPともいい、アルコールの摂取量に比例しやすいことからアルコール性肝障害の指標として広く知られています。採血をして調べます。
γ-GT(γ-GTP)検査の判定値
特定健診の判定値
- γ-GT(γ-GTP)(U/L)
- 保健指導判定値:51U/L以上
- 受診勧奨判定値:101U/L以上
日本人間ドック学会の判定値
- γ-GT(γ-GTP)(U/L)
- 異常なし:50U/L以下
- 軽度異常:51〜80U/L
- 要経過観察(生活改善・再検査):81〜100U/L
- 要治療・要精検:101U/L以上
γ-GT(γ-GTP)に関連する主な病気
γ-GT(γ-GTP)が高いと酒の飲み過ぎがまず疑われます
γ-GTは肝臓で作られる酵素です。腎臓、すい臓、肝臓などに含まれ、アルコールによって肝臓での合成が促進されるため、アルコールの摂取量が多いと、上昇します。他の肝機能検査で異常なしなのに、γ-GTだけ高値の場合、まっ先に疑われるのがアルコールのとり過ぎです。ただし、2割の人はアルコールを多飲してもγ-GTがあまり上昇しませんので、γ-GTが高くないからといって飲み過ぎには注意しましょう。飲酒をしない場合でも、薬剤が原因の場合や肥満による脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎などが原因のこともあります。胆道が詰まるなどの異常によっても上昇します。
よくある質問Q&A
- 高い場合は禁酒が必要なの?
高めとなったら控えめに、要治療の人は禁酒を
要治療まで至っていない場合、まずアルコールを控えることが肝心です。1日にビールロング缶1本、日本酒は1合まで(女性や高齢者はこれより少なくすることが推奨されている)が適量の目安です。また、週に2回は休肝日を設けましょう。要治療や受診勧奨レベルの場合は、禁酒が必要です。2週間くらい禁酒することで数値がかなり改善することが多いのですが、慢性肝炎に至ってしまうと2〜3カ月は禁酒をしないとよくなりません。
監修者プロフィール
- 監修
- 和田高士(わだたかし) 医師
- 東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
- 1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。