主に貧血や全身状態を調べる検査
赤血球数
赤血球数検査の概要
赤血球は、血液の血球成分の1つです。赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)により、酸素を全身に運び、二酸化炭素を運び出す働きをしています。採血をして調べます。
赤血球検査の基準値
- 男性 435〜555万/μL
- 女性 386〜492万/μL
- ※検査機関によって異なります。
- (μ=マイクロ)
赤血球検査に関連する主な病気
赤血球が少ないと貧血や出血が疑われます
赤血球は、白血球、血小板とともに、血液を構成する主要成分です。赤血球が少ないと貧血が疑われ、全身状態を把握するためにもこの検査が有効です。ただし、貧血には赤血球数が正常でも酸素を運ぶヘモグロビンが減少する場合も多いため、貧血の診断には必ずヘモグロビン検査が行われます。女性は男性と比較すると低値で、とくに思春期〜青年期では月経による出血のため、男女差が大きくなります。基準値から多少の高低があっても、大幅なずれでなければ問題がないことがほとんどです。急な減少があった場合は白血病などの怖い病気が隠れていることもあり、注意が必要です。
よくある質問Q&A
- 赤血球は多くても問題があるの?
多血症にも注意が必要
血液中の赤血球数が異常に多いと、多血症が疑われます。多血症とは、赤血球とりわけヘモグロビンやヘマトクリットが異常に増えてしまう病気です。その結果、赤血球のかたまり、すなわち血栓が形成されやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった病気が生じることがあります。多血症には複数の種類があり、造血幹細胞などに異常があって起こる真性多血症、脱水やほかの病気が原因で起こる二次性多血症、ストレスが原因で起こるストレス多血症などがあります。ストレス多血症は肥満や高血圧などを伴うことが多く、イライラや緊張で血管収縮が起こることで多血となります。真性の場合は治療が必要となりますが、二次性やストレス性などは、まずは要経過観察という結果になることも少なくありません。しかし、多血症では血液の粘度が高いため、血栓が起こりやすいことがわかっています。ストレスをためない、こまめに水分補給して血液の粘度を高めないようにするなど、状態に応じた注意が必要です。実際には、多血症の診断は赤血球数ではなくヘモグロビン量もしくはヘマトクリットで決定されます。ですから赤血球数の基準値は世界的に決定されていません。
監修者プロフィール
- 監修
- 和田高士(わだたかし) 医師
- 東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学 教授
- 1981年東京慈恵会医科大学卒業、2008年東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授を経て、現、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授。日本肥満学会評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床検査医学会管理医、肥満症診療ガイドラインの執筆も担当。日本人間ドック学会では、理事を務める。